「霧の中で」


霧の中で霧が出てきたな。
「コイズミさん、どこに行くの?」
「社長が呼んでいるんですよ」
「パパが」  九鬼子のちいさな手が、私の手を強く握り締める。
「どうしました?」
「また、お告げとかしなくちゃならないのかな」
「ええ。社長も喜ぶでしょう」
「でも・・・」

九鬼子が言いよどむのも無理はない。
社長が喜ぶのはお告げだけだ。
用が済んだら、労いの言葉もかけられずに追い返されるだけ。
私は何度、九鬼子を慰めただろう。
最初は仕事として、それから同情へ。

そして今は・・・

「霧・・・真っ白で周りが見えないね」
「そうですね」
「あたしも何も見えなければいいのに」
「・・・・・・」

私の胸のうちも九鬼子には見えているのだろうか?
この霧に、この白い世界に九鬼子と
いつまでも捕われ続けていたいと切に願っているのを。

2000年6月17日に蒼牙さんより頂いたショート・ストーリーです。
あまり素敵なので許可を得て、掲載させて頂きました。
蒼牙さん、本当にありがとうございました!!



学校怪談より、コイズミさんと九鬼子。
お蔵入りしていたイラストをいぢりました。
どこに連れていくつもりなのでしょう。危険です。
・・・やっぱりなんか変な(シチュエーションではなく・笑)絵ですな・・・
あわわ。コイズミさんの頭って・・・。

11.06.2000.写真屋5。

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